児童家庭福祉と保育士

児童に関する地域福祉活動

児童に関する地域福祉活動

今までの児童問題は「要保護児童」に対してが中心的でした。

 

しかし、現在の児童問題は、単なる要保護児童、つまり個々の家庭の問題だけでなく、
全ての児童、そして全ての家庭に共通したものとして理解することが必要で、
全ての児童、そして全ての家庭に対する対策が必要です。

 

近年は、地域社会に人間性回復の場を作ろうとする目的で、
たとえば地域援助技術(コミュニティワーク)と呼ばれる
地域に根ざした福祉サービスの拡充や、
住民参加の福祉の実現を目指す活動が「まちづくり」と連動し活発化しています。

 

連動しなければならないのは、
「まちづくり」には、住民自身が参加し、課題解決を図る地域福祉活動が欠かせないためです。

 

連動してこそ、その「まち」に発生している、
或いは発生を予測し得る課題についての解決策が見出せるからです。

 

地域福祉の社会資源としては、
「福祉事務所」、「児童相談所」、「保育所」を含む各種福祉施設、
そして、学校や幼稚園などの「教育機関」、
保健所や病院等の「保健医療機関」、
そしてそこで働く職員、ボランティアを含めた地域住民などの
「ヒューマンパワー」などがあります。

 

このような地域福祉の社会資源を十分に活かし、
地域福祉活動を発展させるためには、
ネットワーク作りが大切です。

 

そして、児童、障害者、高齢者などと住民を区分しないことが大切で、
その地域全体の人々の暮らしという視点で物事を考えていくことが必要です。

児童のための地域福祉活動

児童のための地域福祉活動には、大きく分けると、以下の様に4つに分けられます。

 

(1) 家庭での養育を支援する地域福祉活動

 

 地域全体で子育て支援に関わろうとするもの。

 

 例)
 ・保育所や幼稚園の機能の拡充と開放
 ・学童保育(放課後児童クラブ)
 ・保育ママ
 ・育児相談
 ・各種保育ボランティア
 ・子育てサークル
 ・福祉施設の児童家庭支援センター、ファミリー・サポート・センターや短期入所制度など

 

(2) 児童の発達を支援する活動

 

 健康で文化的な住みよい地域環境は、児童だけに必要と言うものではなく、
全ての住民に必要なものです。
 そして、それれを開発し、整備していくためには、
地域の連帯的な人間関係が欠かすことが出来ません。

 

 例)
 ・遊び場や文庫活動などの施設づくり
 ・子ども参加型の地域社会活動やボランティア活動などの人間関係づくりや地域体験活動

 

(3) 障害を持つ児童の発達を支援する活動

 

 従来の施設型福祉の考え方では、子どもたちの生活圏を狭めてしまっていました。

 

 ですが、子供達が地域で交流するための場を作り、
活動する動きが高まり、以下のような活動が各地で展開されています。

 

 例)
 ・ホームヘルプサービス
 ・おもちゃ図書館
 ・教育のためのおもちゃづくり
 ・学童保育
 ・交流キャンプなどの活動

 

 また、保育所と障害児施設との交流保育には歴史がありますが、
1998年に改定された幼稚園教育要項でも、
「障害児との交流」を保育に導入するよう明記されています。

 

(4) その他

 

 その他、さまざまな活動が次々と誕生しています。

 

 たとえば、NPO(特定非営利活動団体)などの活動がありますが、
この活動は「すべての子供達のために」という児童家庭福祉の理念に基づき、
地域活動への住民参加と社会資源の新たな開発が具体化されつつあります。

保育士と地域福祉活動

保育士が地域での福祉活動の中心になっていくことが期待されています。

 

保育のプロである保育士が、子育て中の親の不安や悩みを聞き、
サポートすることが出来れば、
近年問題になっている児童虐待や思春期非行、引きこもり、
情報化社会による犯罪に巻き込まれる等の問題を
未然に防ぐことが出来る可能性が高くなってきます。

 

保育士は、保育所保育に留まっているべきではない時代が来ています。

 

近年は、同じような悩みを持つ人たちが
相互に援助しあう形で課題を解決する方法が活発になりつつあり、
子育てだけでなく、医療や介護などの分野でのセルフヘルプ・グループがどんどん組織化され、
活動の成果をあげています。

 

このようなグループの中で、グループのメンバーがそれぞれ持っている考えや情報、
感情などを表現できるようにサポートする役割を担う人のことを
ファシリテーターといいますが、ファシリテーターには、
課題解決のためにどのような方法を選択すると良いのかなど、
考える場を保障すると言う役割もあります。

 

勿論、グループが相互に援助しあえる機能を高めていくことも
ファシリテーターの重要や役割です。

 

近年は、児童虐待の問題が深刻ですが、
それ以外にも、思春期の子育ての問題を抱えている家庭も少なくありません。

 

乳幼児期の子育てだけでなく、思春期の子育ての問題などで
親が育児に困難を感じたときや、育児に行き詰ったとき、
すぐに仲間入りできるグループが身近な生活圏の中にあるという仕組みがあると良いのではないでしょうか。

 

そして、このような仕組みの中心的役割を担うファシリテーターとして
保育士が活躍する事が期待されています。

 

情報化社会は子育て中の親達を不安に陥れ、
その結果生じた悲劇も少なくありません。

 

保育所や子育て支援センター、児童家庭支援センターなどで働く保育士たちは、
子育て中の親たちとより良い人間関係を築き、
コミュニケーションを取っていくことができる立場にあります。

 

直接保育士に、親たちの不安や悩みが届けば、
問題を未然防ぐことも期待できるはずです。