児童家庭福祉と保育士

児童を取り巻く家庭の変化

児童を取り巻く家庭の変化

2000年11月、「児童虐待の防止に関する法律」が施行されました。

 

しかし、この法律が施行されたのは、
家庭内での児童虐待が社会問題化して、10年も経過した後です。

 

2004年、児童虐待の防止に関する施策を促進する事を目的とし、
児童虐待の防止に関する法律は改正されましたが、
現在も、児童養護施設では、家庭で虐待を受けた子供達が多く入居しています。

 

昔の日本は、他の東アジア圏の国々と同じように、
3世帯が同居するのが主でした。

 

しかし、東京オリンピックをきっかけに、先進国の仲間入りを果たした日本は、
高度経済成長を遂げ、同時に、核家族化、小家族化を進行させてしまったのです。

 

女性の就労率も高まり、「カギっ子」と言う言葉も流行語になりました。

 

核家族化、小家族化の進行により、
現在の子供達を取り巻く家庭環境は大きく変化しています。

 

具体的には、かつて大家族であったときの家庭には、
「生産・消費という経済」、「生殖」、「保護(互助)」、「教育」、「娯楽」などの機能が備わっていました。

 

家庭内ではみんなが働き、助け合いながら子どもを育て、生活を楽しんでいたのです。

 

ですが、時代の流れ、社会の変化と共に、
労働の場は企業から家庭外に移り、消費の場も外食産業の隆盛に見られるように
家庭外へと拡大しています。

 

保護機能は、国や自治体、医療機関に移り、
教育は学校や教育産業に移り、娯楽は余暇産業へ・・・
つまり、従来は家庭の中に当然あったものが外部化されてしまっているのです。

 

現在の子供達は、家庭外での生活時間が大幅に増え、
子どもにとって家庭が「ホテル化」、「下宿化」しているという実態もあります。

 

最近では、子どもの塾通いやお稽古ごとは0歳から始まり、
通信教育、スポーツ教室、英会話などが人気で、
中学生くらいになると学校の部活動、学習塾に多くの時間を費やすようになり、
家庭で過ごす時間が極端に少なくなっているのです。

 

さらに、都市化や産業構造の変化に伴う地域コミュニティの脆弱化も加わり、
家庭は家族のみでさまざまな生活課題に対処しなければならない時代です。

 

しかし、それはとても難しい事であり、
その困難さを露呈するかのように離婚、育児能力の低下、
虐待、育児放棄、少年非行、家族病理の問題などが多く発生しています。

 

長期に渡る経済不況で悩む家庭も少なくなく、
親世代の失業問題が、家庭の問題に拍車をかけているという実態もあります。

 

このような家庭環境が、
子どもの育ちに暗く深い影を落としているといっても過言ではないでしょう。